低価格ハンディ3Dスキャナーの選び方 EinStar vs EinStar Vega
- 株式会社Seed3D
- 1月23日
- 読了時間: 7分
更新日:4月7日
こんにちは。株式会社Seed3Dの代表の大橋です。
今日は100万円以下の低価格ハンディ3Dスキャナーの選び方について説明します。

低価格ハンディ3Dスキャナーの需要が高まる背景
今まで3Dスキャナーといえば100万円以上はする高価なものでした。主に買う人は企業で、幅広い業界で興味は持たれるものの、操作性やポストプロセスの知識不足などの問題で納入してもうまく使えるのか不安を持たれたり、費用対効果があるのか、などの不安から導入に至らないケースも多くありました。
しかし、価格の低下で10万円前後から購入できるような3Dスキャナーが数多く出てくるようになり、医療やオーダーメイド靴、製造業などでも低価格3Dスキャナーは使えるんではないかと期待があります。
一方で低価格3Dスキャナーでは精度が出ないんじゃないか。という不安のある方も多いかと思います。
ですので今回は高価格機種も低価格機種も販売した経験から、できる限りフラットな目で
みた低価格ハンディ3Dスキャナーの選び方を教えていきたいと思います。
撮りたいもののサイズ感
まず、3Dスキャナーの選定の上で最も大切なのが、何を撮りたいかというところです。理由は機種によって対象としているスキャンが実質的にできるサイズが全く異なります。
例えば小さいものに特化した3Dスキャナーだと、一回の照射範囲が狭く奥行きも深く取れません。3Dスキャナーの仕組みとしては一度スキャンした場所と二回目にスキャンした場所をソフトウェア上で探し出し位置を合わせて立体を生成するという特徴があります。
そのため、一回の照射範囲が狭いスキャナーで少しサイズのあるものを撮ると(どこをスキャンしているかわからなくなるトラッキングロストという現象が起きます。
逆に大きいものを対象とした3Dスキャナーで小さいものを撮ろうとすると解像度が甘く目的の用途に使えない、そもそも形にならない。というようなことが発生します。3Dスキャナーの小さいもののディティールはカメラ解像度、焦点距離、光源など様々な要因から来ますので一度撮りたいものをデモなどでテストスキャンを依頼し、最大値を知っておくのも一つかと思います。大きいもので必要なディティールさえ取れればそのあと解像度を落としてとることもできるので安心して使用できます。
また、小さいものがほとんどという方に関してはハンディではなく固定タイプの3Dスキャナーを検討に入れるのも一つかと思います。
ハンディタイプでの小物スキャンは余分な部分が撮りたいものに対して多く、後処理等で時間が想像よりかかります。また、ディティール面や操作性に関しても固定スキャンの方が上なケースが多いので小さいもの限定で撮るのであれば固定スキャンの方がおすすめです。
単にハンディスキャナーを固定して使えばいいのではと思われる方も多いのですが、そもそも固定タイプの3Dスキャナーとハンディタイプのスキャナーでは仕組みが違うのでご注意ください。
トラッキング性能
先ほどもトラッキングの説明がありましたが、このトラッキング性能というのが低価格ハンディ3Dスキャナーを選ぶ際に最も重要なところといえます。また、このトラッキング性能が低価格帯の機種では大きく異なりますので選定の際に最も重要な点といえます。
3Dスキャナーを購入して一番最悪なケースが、「そもそも撮れなかった」です。
これが起きてしまう一番の理由がトラッキングがよくない機種を買ってしまうことが原因です。
ではトラッキングはどのように良し悪しを判断すればいいか。
1つ目はトラッキング方法です。
スペック表に
トラッキング方法
形状位置合わせ
マーカー位置合わせ
という表記があると思います。これ何かというと何を基準に一度スキャンした場所と新たにスキャンした場所をくっつけるかというところです。形状であれば形を見てそこに合うようにフィット、マーカーであればマーカーを見て位置を合わせていきます。使い分けとしては例えば机の上をスキャンしたいときには、特徴だと参照になる形状が少なく、同じところをずっととっているとスキャナーが誤認します。そのため、マーカーを対象物にペタペタ張ってスキャンをする必要があります。ちなみにマーカーは3Dスキャナー専用のマーカーが必要になります。
レーザータイプのハンディスキャナーは基本的にはマーカーが必須になるのでここは注意が必要です。
じゃあこれ以外の位置合わせ方法は何があるかというとカラー位置合わせです。
これはスキャンしたデータのRGBデータから位置合わせをすることで形状を合わせていきます。
これにより何ができるかというと例えば先ほどの机の上をスキャンする際も木の木目や汚れなどを参照にして位置合わせを行うことができるので反射等で色味が変わらなければマーカーを張ることなくスキャンできます。また、特徴がないところにも水性ペンなので特徴を作ってあげればトラッキングができます。
2つ目はスキャンソフトウェア側のアルゴリズムです。
3Dスキャナーの性能はソフトウェアの性能で決まると言っても過言ではなく、感覚的には70%くらいはソフトウェアの処理方法で決まるのではと思っております。
これはなかなか判断が難しいのですが、高価格機種を販売しているメーカーはこのノウハウをそのまま低価格機種にも使えるケースもあり、トラッキング性能が高いケースが多いです。
また、トラッキングにはパソコン的な処理も必要になるため、ワイヤレスタイプの3Dスキャナーはいいパソコンを接続できるワイヤータイプに比べて、トラッキング性能が落ちるケースも見られます。(高級機種ではそのようなことは起きませんが、低価格帯だと搭載できる内部PCもそこまで高性能ではないことがあります。)
この二点に注意してトラッキングは見てみるとよいですが、判断が難しいという場合はデモを依頼するのが確実かと思われます。
EinStarとEinStar Vegaではどうなのか?
上記の点を踏まえてEinStarとEinstar Vegaを見ていきましょう。
EinStar | EinStar Vega | |
サイズ | 中型 大型(15cm角以上) | 小型 中型 大型 (5cm角以上) |
カラートラッキング | 対応 | 対応 |
トラッキング性能 | ◎ | △ |
ワイヤレス | × | 対応 |
サイズに関してはEinStarがある程度サイズのあるもの Einstar VegaがHDモードという小型に特化したモードがあるので小さいものにも対応しています。 EinStarでも高解像度で15cm以下の物も撮れないわけではありませんが、Einstar Vegaに比べるとディティールが劣ります。
カラートラッキングはどちらも対応しております。また、形状位置合わせとカラートラッキングを組み合わせたりできるハイブリッドトラッキングも可能です。もちろんマーカーにも対応しております。
トラッキング性能は現状EinStarが圧倒的です。Einstar Vegaも決して悪いわけではないですが、EinStarのトラッキングは100万円以下の機種のトラッキングの中では断トツでNo.1ではないかと思っております。
Einstar Vegaはその点トラッキングでは劣るものの、まあとはいってもこの価格帯でこのトラッキングは強いという評価です。
ただ、Einstar Vegaコードレスでできるため、わざわざスキャン用に新しいPCを購入したりしなくてもよいというメリットもございます。また、コードレスでないとそもそもスキャンできない場所や電源の供給がないところでも稼働できるということがかなり強みにはなっております。スキャンへの準備もいらないので気軽さという面でもコードレス機種は優秀といえます。
結論としては性能で選ぶんであればEinStar、手軽さ、幅広さで選ぶのであればEinstar Vegaというようなイメージです。
購入にお悩みのあるお客様へ
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